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もう、あと1歩たりとも動けない

「もう、あと1歩たりとも動けない。あと1日たりとも持たない。」
そんな悲痛な表情を浮かべた安倍総理の辞任会見でした。

政治について何も語るものを持たないわたしですが、
今回の総理辞任を見るにつけ、
自分自身が、うつ病による休職に至った経緯を見るようで、
いたたまれなかったので、一筆。

参議院選挙の惨敗にも続投を辞さず、
たった数日前にも「職を賭して」と発言し、
所信表明演説まで行った矢先の辞任表明は、
端から見ればあまりに突拍子なく、
無責任だと言われてもしかたのない引き際です。

けれど、(わたしの穿った見方かもしれませんが)
総理自身の胸のうちでは、もうずいぶんの間、
「もうできない。前へ進む力がない」との思いに
さいなまれていたのではないでしょうか。

彼の政治的な失策については明るくないですし、
それを論じることもわたしにはままなりませんが、
このところの安倍総理は、
もはやどちらへ歩を進めても道を絶たれ、糾弾の餌食になる、
この繰り返しだったことから、相当に悩ましかったことと察します。

それでも一国の総理、サラリーマンとはわけが違います。
「もうできないから、辞めます」というわけには無論いかず、
「なにがなんでもやり遂げます」といった趣旨の発言を繰り返し、
自分をなんとか鼓舞ながらも、その度にこころの内で
「いや、もうできないんだ!」と叫び、
虚ろな思いに覆われていたのではないでしょうか。

そしてこの両日、
なんとか繋ぎとめていた最後の糸が、
突発的にぷっつりと切れてしまったのだと思います。

前日、風邪を理由に早く公務を切り上げ、
今日、予定されていた大事な代表質問を突如キャンセル。
非常識を押してでもやむを得ないほどの、こころのエマージェンシー、
大きな赤信号が点ってしまった……

(逆に、もしそうでないのだとしたら、
このような幕の引き方は理解しがたいものがあります。)

わたし自身、うつ病を患いながらも、
なんとか病状と折り合いをつけながら勤務を続けてきました。
自分の中では、いつ息切れするかわからないギリギリの状態でしたが、
それでもなんとか業務を全うしたく、
「やれると思います」「なんとかします」を繰り返し、
そんな自分の発言に、
もう一人の自分がどこか空しい視線を投げかけながら、
最終的には力尽きてしまいました。
傍目から見れば、まさしく、安倍総理と同じく「突発的な」終わりかたでした。

おとなとして、社会人として、あってはいけない事態。

こうした事態を招かないためには、
日ごろから自分をかわいがって、ケアすること。
「よい意味で」わがままであること。
すなわち、無私の精神やら愛社精神やら、
しごと熱心やら責任感やらを発揮しすぎないこと。

それが結局、自分自身にとっても、他者にとっても、
ここちよくいられるための何よりの秘訣です。

……などということを、総理の辞任会見を見ながら考えました。

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