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よみがえる恋ごころ

Futon

日本文学史上初の私小説として、
誰もが国語の授業で一度は習う作品、
それなのに、実際に読まれることは多くない「蒲団」という小説。

これを現代語に書き下しながら、
主人公を作者の奥さんに置き換えた、
とてもユニークな作品が、この中島京子作の「Futon」。

この小説のユニークなゆえんはそれだけにとどまらず、
「“蒲団”という作品を現代語に書き下す者」を作中に登場させ、
その人自身(しかもその人はアメリカ人大学教授!)の色恋沙汰もあぶりだしているところ。
時代と海を越えたさまざまな恋愛模様が交錯し、色を塗り重ねて、
この作品の味わいを深めています。

どの時代にいても、
どの国に育っても、
恋するひとたちはみんな同じ。
切なくて、哀しくて、ひたむきで、
とてつもないパワーを秘めていて、
そして少しばかり滑稽。

実は、わたしがうつ病になって驚いた自分自身の症状に、
「恋愛に対してまったく興味がなくなった」
というのがあります。
興味や自信を失うどころか、どこか汚らわしく感じてしまい、
嫌悪感すら抱いていました。

そんな自分がとてもつまらない人間に思えて、
かわいそうでした。

だから、「くだらない」恋愛沙汰ごときで一喜一憂したり、
一生抜け出せない執着にとらわれたり、
時には地球の裏側まで飛んでいってしまうような
この作品の登場人物たちにこころから感情移入できたとき、
人生の喜びをとり戻せたような気がして、とてもうれしかったのです!

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