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ただ、ひたすら寝て、食べて…超リアルな闘病記

Book_2

作家の山本文緒さんによるうつ病闘病記「再婚生活」を読みました。

長く、執拗に彼女を苦しませ続けるうつ病。
その闘病生活の一期間、
毎日淡々とその日のできごとを綴っているエッセイ(?)です。

作中には、うつ病に関するうんちくや知識、
はたまたご本人の病状の客観的な描写などはまったく無く、
うつ病に関する有益な情報といったものは一切、排されています。
したがって、この本から、知識やノウハウ的なものを得ることはできません。

また、日記に書かれていることは、
日々、ただひたすら眠り、なにかおいしいものを食べ、猫と戯れ、
たまにどこかに買い物などに出かけ、少しのしごとを片付け……
といったことが延々と続くのみです。

それなのに、貪るように読んでしまいました。

この先に、なにかドラマティックな展開があるわけではないのは、
あらかじめわかっているのですが、
それでも、止められない何かに惹きつけられ、
読むことをやめることができないのです。

おそらく、うつ病患者自身でなければ、
おもしろくもなんともない本だと思います。

けれど、うつ病患者当事者からしてみると、
ただ羅列されているだけの彼女の一挙手一投足が、
いちいち「思い当たる」ようなことばかり。
自分以外のうつ病患者の日常など覗いたこともないわたしにとっては、
その日常の一挙手一投足そのものが、
興味と共感の対象になります。

ただ寝て食べて、日々を暮らす。それだけの本。

だからこそ、そこらへんの専門書よりも、よほどリアリティがあるのです。

また、作中ではわたしが経験することの無かった入院生活についても綴られていて、
日常を隔てた見知らぬ世界の、
でも自分自身も経験するかも知れなかった「扉の向こう」を覗き見ることができて、
とても興味深かった。願わくば、一生経験しないでいたいものですが。

しかし入院するほど重症だった作者が、
家事や日常のことにまで支障をきたすような状態にも関わらず、
毎日、日記をつけ続けることができたと言う事実に、
もうただただ感服するばかりです。

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