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病気が治る≠元気になる、あるいは元に戻る

主治医の先生は、わたしを診察してくれているこの1年のうち、
ただの一度たりともわたしに病名「うつ病」を告げてくれたことはありません。

何度か出していただいた診断書にも、
ただの一度たりとも、「うつ病」と書かれていたことはありません。
(その代わり、「うつ状態」と書かれていました。)

でも、昨日の診察のときに、見えたのです。

わたしのカルテの表紙に大きく「うつ病」と書かれているのを。

当然のことなのですが、
わたしはきちんと、病気だったのです。
単なる逃避のために病気のふりをしたわけでもなく、
ほんとうは健常者なのに、
病気を盾に自分の弱さを正当化したわけでも、ないのです。

それが、きちんとわかって、よかった。

それならば、「病気が治るとき」というのも当然、訪れてくれるはずで。

ずっともやもやしていたことを、聞いてみました。

わたしの、いまのこの状態。
これが果たして「治った」という状態なのか、を。

薬を飲まなくなったときにも、
いまの状態を保っているのであれば、
それは「完治した」ということなのですか?

先生は、言いました。

「実際のところは、現在もうすでに、薬を飲んでも飲まなくても、
いまの状態には何も変化は起こらないと言えます。
もうあなたは、すでに治っているのです。」

ということは、この先もこれ以上によくなるということはないのですか?

先生は、言いました。

「薬のちからでこれ以上、よくなるということはありません。」

いいえ、それは違います。
いまのわたしは、確かに元気です。
病気の症状も、消えてなくなりました(ほとんど、ね)
けれど、病気以前の状態を取り戻したかといえば、
それとはまだほど遠い状態です。
例えばいますぐに、以前と同じような生活をしろと言われたら、
それは到底、不可能なことなのです。
以前のような環境でしごとをしたり、
以前のように充実したプライベートの生活を送る、ということは。

以前と同じ生活スタイルを送ることにはこだわりません。
そういったことは別にしても、
端的に言えば、生きるエネルギーのレベルで、
とてもでないですが、まだまだ元気を取り戻したとは言えないのです。

先生は、言いました。

「そういった“不全感(うん! まさにそのことばがぴったりです)”を訴える患者さんは、多いのです。
これから1年2年かけて、自然とそれを取り戻していくひともたくさんいますが……」

わたしがうっすらと感じていた予感は、やはり正しかった。

病気から回復する=健康を取り戻す、あるいは以前のレベルにまで元気になる

では、ないのです。

がっくりと首をうなだれるわたしに、
主治医の先生は言いました。

「うつ病になる患者さんはそもそも病気になる前、
自分のキャパシティを超えて120%のちからでがんばっているひとが多いのです。
その状態こそが、そもそも本来のあるべき姿ではないのです。
これからは、少したづなを緩めて、
本来の100%のちからで生きていくことをしていけばいいのではないですか?」

いえいえ、先生、それはほんとうに違います!!!

わたしはもともと、だらだらしているのがダイスキな人間です。
なにもしていない、無駄な時間をある程度確保しないと、からだがもたない人間です。

わたしの友人はみんなみんな、
わたしよりも、
しごとでたくさんのパフォーマンスをし、
その余力でさらに、
プライベートであんなことやこんなこと、いろいろこなして、
それでもからだを潰さずに、元気でやっています。

わたしはいつも、そんな彼らをうらやましく思いながら、
彼らの70%くらいの充実度で毎日、暮らしていたくらいです。
120%がんばっていたなんて、とてもとても……
もっともっといろんなことができるのに、したいのに、と思いながら、
ダラダラと無為に日々を過ごしていたのです。

こんなわたしに、もっとゆるく生きろと言うのは、ほんと酷です……。
いまの過ごしかたが、ほんとうに一生続くの?????

……もし先生の言うことがほんとうなのだとしたら、
もし病前のわたしが120%のがんばりで生きていたと言うなら、
わたしはおそらく、かなり多くの部分で、
放出すべきでないところにエネルギーを放出していたのだろうと思います。
有意義なところに70%、無駄なところに50%。あわせて120%。
そういう賢くない、無駄づかいな生きかたをしてきたのでしょう。
しごとでも、プライベートでも。

わたしのこの課題は、どうやって克服していくべきなのか、
まだアイディアが思い浮かびません。

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コメント

初めまして、カエルといいます。私もうつ病です。nikitaさんと同じように、ゆったりした何もしない時間が必要な性質で、友人達のパワフルさと比較して落ち込んでいました。
私も今までの行動が自分では70%だと思っていたのに120%もエネルギー使っていたんだ、と言われたら本当に途方に暮れました。今は以前と比べてエネルギーチャージに時間がかかると思いますが、段々その時間が減りエネルギー量も増えてくると思います。(と私も希望を持ちたいです。)
ゆるく生きるといっても、より心地よい生活ができるかもしれません。あと、nikitaさんは「無駄遣いの生きかた」をしていたと思われているかもしれませんが、私はそう思わないです。
思えないのです。これだけたくさんのちゃんとした日記を書いてらっしゃる方だし。これからも参考にさせてくださいね。

投稿: カエル | 2008年4月 5日 (土) 18時59分

>カエルさん

はじめまして。
ブログ読んでいただいてありがとうございます。

なかなかアクセスも増えずに、
ひっそりとブログを続けていましたが、
こうして同じ病気と闘っている仲間からのメッセージをいただくのは、
このうえなくうれしいことです。
この世界のどこかに、
同じふうにガンバッテルひとがいる、
と知るのは、とても心強いものです。

わたしは現在、毎日7時間の勤務をこなし、
(それも単純作業なのですが……)
週末になるとグッタリ疲れて放心している日々が多いです。
家⇔会社オンリーの、引きこもり傾向かな?
人生を謳歌している友人を見ると、
ほんとうに孤独な気分になります。

お互い、好転する明日を信じて、
1日1日を着実に過ごしていきましょうね!
わたしもカエルさんのブログ、読ませていただきました!!
これからたびたび、お邪魔させていただこうと思います。
よろしくお願いいたしますね☆

投稿: nikita | 2008年4月 6日 (日) 00時24分

こんにちは。
そうそう、治るって、元の自分になることじゃないんですよね。家族は、以前の私に戻ることを期待しているようなのですが、、、違うんですよね。
じゃあ生きるエネルギーは?元通りにならないのか?
これ、私も疑問です。私も、ダラダラ生きてきたはずなのになぁ。

投稿: びみょう | 2008年4月 8日 (火) 03時10分

>びみょうさま
以前もご訪問いただいたかたですよね? ありがとうございます♪

「わたしだってダラダラしてたはずなのに!」
そう思われたうつ病のかた、わたしだけではないんですね。
よかった。すこし安心しました!

もとの自分に戻れなくても、
もとの自分とはちがうやりかたで、
もとの自分以上に楽しく生活できたらな・・・と思うのですが、
そんな方法、きっとすぐには見つからないものですよね。
もしもいいアイディアが浮かんだら、
このブログにも書いてみたいものです。

わたしも楽しみに、びみょうさんのブログを
ちょくちょく拝見させていただこうと思います☆

投稿: nikita | 2008年4月 8日 (火) 21時39分

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